新参者?アメリカカンザイシロアリ
最近、アメリカカンザイシロアリの被害がマスコミで取り上げられ、注目を集めています。
アメリカカンザイシロアリは、その名の通り、アメリカを原産とする種で、家具や梱包材等によって日本に持ち込まれたと考えられています。
日本に広く生息するシロアリ(ヤマトシロアリ・イエシロアリ=「地下シロアリ」の仲間)と違って、土の中からではなく飛来等によって建物に侵入します。
アメリカカンザイシロアリは、地下シロアリと違って、多湿を好まず、特別に水を必要としないため、乾いた木材の中で生活できる「乾材シロアリ」の仲間です。土壌を本拠地としていないことが、地下シロアリとの大きな違いです。
加害のイメージ
アメリカカンザイシロアリ |
アメリカカンザイシロアリの羽アリ。羽が落ちて、1枚になった状態。 |
分 布 | 1976年に始めて東京で発見され、現在では、九州・沖縄から本州各地において被害が確認されている。今後も、各地で発見される可能性がある。 |
羽アリの体長 | 6~8mm |
羽アリの体色 | 体は黒褐色(頭部は赤褐色) |
羽アリの群飛時期 | 少数ずつ長期間、7~9月の昼間。環境条件によっては、ほとんど1年中群飛すると考えられている。 |
羽アリの走光性※ | なし |
蟻 道 | 蟻道の加工はできない。 |
加害習性 | 建造物やピアノ・家具類、野外の枯れ枝の中などの乾材のみを加害する。加害箇所は、複数の空洞(食害部)が細長いトンネルでつながっている。被害材表面の穴から、乾燥した砂粒状の糞を外へ排出する。 |
巣 | 特別な巣は作らず、加害箇所が巣を兼ねる。乾材の割れ目、継ぎ目など。 |
コロニー(集団) | 構成員数は数百~最高、数千と少ない(ヤマトシロアリは1~2万匹、イエシロ アリは大きなものでは、100万匹に達する)。コロニーの範囲は1本または連続した材で、被害家屋には、1から数十個のコロニーが見られる(被害は点在)。コロニーの成長は比較的遅く、羽アリが発生するまでには4~5年かかると言われる。 |
アメリカカンザイシロアリ
職蟻(働きアリ)
ヤマトシロアリ(3.5~5㎜)、イエシロアリ(3.5~5.2㎜)に比べ、大きい。
アメリカカンザイシロアリ
兵蟻(兵隊アリ)
8~11㎜と大形。
アメリカカンザイシロアリ発見ポイント
アメリカカンザイシロアリは、加害スピードは遅いものの、小集団による被害が点在するため、被害を見つけにくいのが特徴です。
発見の手かがりとなるのが砂粒状の「糞」。加害材の表面に穴をあけ、その穴から外に排出します。この糞を見つけたら、アメリカカンザイシロアリがいる可能性大です。
アメリカカンザイシロアリの糞。直径約1㎜で米俵状、表面に6本の溝がある。黄色から褐色(食害している木材の色に近い)。
アメリカカンザイシロアリによって作られた壁の穴。
天井板に堆積した糞。
押入の奥に散乱した糞。
床下の束石の上に堆積した糞。